● 企業における「情報活用」と情報システムの関係
【ページ構成】 ■ これからの「情報活用」の基盤創り
■ 「業務プロセスの効率」と情報活用
■ 「事務作業の向上」と情報活用
■ 「マネジメントサポート」と情報活用
■ 「経営管理の充実」と情報活用
■ (参考) 情報活用とコミュニケーション
企業情報システムは情報活用をベースにしたデータ処理の仕組みとも言えます。データ処理を行い
企業活動に対して、如何にして「意味のある・価値のある」情報をタイミング良く必要な人に提供する
仕組みが経営から見た情報システムのあり方です。企業情報システムは情報リテラシーそのもので
あり、経営情報の管理、営業活動の支援及び業務処理の効率化と密接な関係にあります。
狭義に捉えていた「情報活用」という意味を広義に理解することが、これからのパッケージ導入(シス
テム開発も同様)に必要と考えます。
|
企業活動とは
- 顧客サービス・取引条件・計画・管理基準・業務手順・各種ルールなどの約束ごとから発生する情報を有機的に関連付けた情報活動です。
- 「入力した・発生した」データをベースにして「加工・提供・連携・指示・保存」などのデータ処理を行い、意味のある・価値のある情報と行動/判断につなげます。
これからの情報活用は
- データ分析ツール・EXCELなどを使用した「実績データの集計・分析」とともに、「業務プロセスの効率・事務作業の向上・営業活動の支援・・・・・」などに、情報活用を大胆に取り入れた仕組みを創ることです。徹底することです。
- 現状の仕組み・処理などに無条件に従うのでなく、それらの改善・改革に有効な糸口としての「情報の活用」から発想と検討を行うことです。
【参考】ダウンロード資料<360 「データと情報」>
|
● これからの「情報活用」の基盤創り
企業活動を効率良くするための情報活用は、情報システムとしての「支柱・中枢・土台機能」を保有
することです。特に、中枢・土台機能を自社に合った形で保有することが重要です。それとともに、情
報を扱うための企業風土と業務ルールの改善も必要です。
また、情報活用を情報システムのみに頼ることの弱さと限界を知ることも大切です。
|
情報システムの支柱・中枢・土台機能
- (参照)「企業情報システムのあり方」ページの「パッケージ機能に必要な保有
要件」 (図表:kja140)
- この図表の中で、ノンペーパ指向・データ訂正・コード体系に留意すべきです。
情報システムによる限界
- 抽象化、平均化である数字による傾向把握・分析などは、問題発見・対策に的確性を欠く側面があります。マネジメントとして、注意が必要です。
- デジタル情報とともにアナログ情報(因果関係・声・事実・業界動向・文脈・・)を押さえる必要があります。デジタル情報とアナログ情報がマッチして、適切なマネジメントが出来ます。
- 情報システムの情報活用を目的のみに終始すると危険性が付きまといます。あくまで、情報活用は目的達成のための手段です。
企業風土の改善
- 管理・計画・進捗などの情報は、関係者に常に「見える化」「共有化」が必要です。
そのための経営者の意識改革・力量・リーダシップが不可欠です。
- 「情報を使える・読む・発見する人材」の重要さを理解し、人材育成の方針と行動を経営者が示すことです。
|
「業務プロセスの効率」と情報活用 < 情報活用の基盤 ① >
業務プロセスなり個々の業務処理を効率良く行うためには、まず確かなデータ処理を行い業務ルー
ル・管理基準に基づく情報システム構築が条件になります。そのベースの上に、情報の活用を図る
仕組み・仕掛けを創ることです。また、営業活動・生産活動・取引先などの関わり方も重要性を増し
つつありますのでこの点も考慮すべきです。
【参考】ダウンロード資料<350 情報システムを進化させる「情報活用」と業務>
データ処理の正確性と品質保持、情報活用を行うための要点を理解しシステム機能にしっかりと落
とし込むことです。この作業を「要求定義・Fit&Gap」フェーズの中で、位置づけます。単なる要求・
要望に留めておくとその後の設計・カスタマイズ作業から落ちていくのは目に見えています。要注意
です。
|
データ処理の正確性
入力データの活用
・ PC連携・他システムとの連携を含めて、2重入力を一切行わない。
・ 入力データを最終データ(例:決算・経営資料)まで活かしきります。
データの“正”保証
・ 入力したデータは、後続の処理ステップの処理条件に耐える内容にします。
・ 取引条件/運用条件/サービス条件/法令などの的確性チェックを行いま
す。また、関連する他データ(例:受注データと発注データ、出荷データと返品デ
ータ)との整合性の保証です。どの処理においても矛盾の無いデータにします。
変更/訂正の確実さ
・ 「人のやることは必ずミスが発生する」ことを前提にしたシステム機能にします。
また、取引における変更/訂正の許容条件を明らかにしてチェックを行います。
・ この起こり得る変更/訂正の場面/処理タイミング/項目を整理して、変更/訂正
処理を使う人が分かるシステム機能にします。
・ この変更/訂正処理は、他データ(例:分割データ)、マスタ(例:取引条件)、運
用(例:日付/締めの許容範囲)などの整合性の維持が大事です。
コード体系の柔軟さ
・ コード(フラグ、区分類含む)で管理する項目は、意味づけの合理性と分かりや
すさを重視すべきです。
・ 先々の変更・追加を考慮した柔軟性と拡張性を持つことです。
情報活用
後続作業に必要な情報の前倒しチェック
・ 後続作業(=後続の処理ステップ)がスムーズに処理が行える条件を、入力処
理の段階でチェックを行うことです。
【例】 ・受注処理 -- 納品条件、売上条件、請求条件のチェック
・発注条件 -- 入荷・仕入条件、生産・加工条件のチェック
・ 前倒しチェックの結果、後続の処理ステップが自動的に行える可能性が大きく
なり、業務効率と作業品質に寄与します。
業務コントロール情報の精度維持
・ 入力したデータに対して、その入力処理で商品・取引先・サービスなどの業務コ
ントロール条件が加わります。その業務コントロール情報の維持管理が大事に
なります。
【例】 ・マスタ -- 自社出荷/他社依頼、許認可の可否・・・・
・その他 -- クレーム対応の可否、納期指定・・・・
・ 業務コントロール情報の変更の際は、対象データとの相関性と変更可否を考慮
します。
指示情報による自動作業
・ 後続作業の担当に対して、画面・データ渡し・帳票で自動的に作業・事務が行
える情報を渡すことです。情報連携による作業形態を目指すことです。
【例】 ・受注処理 --> 出荷・納品・発注・生産依頼・加工依頼
・貿易処理 --> 発注と輸入の連携、、受注と輸出の連携
・ この指示情報と自動作業の連携において、その間に「承認・チェック」という機能
が入るケースもあります。
システム間の自動連携
・ システム(パッケージ)間のデータ連携を可能な限り自動化することです。
【例】 ・販売管理と決算処理/貿易処理/データ分析
・販売管理/小売管理と生産計画/加工管理
|
「事務作業の向上」と情報活用 < 情報活用の基盤 ② >
事務作業の目的に応じて、情報活用を図ることが事務作業の効率と正確性に貢献します。業務プロ
セス・管理内容に応じて、事務作業に必要な情報を整理することが前提になります。その情報を「イン
プット・アウトプット・サポート」に分けるとシステムとしての事務作業が分かりやすくなります。
【参考】ダウンロード資料<390 事務作業の画面サンプル>
|
インプット
- 事務作業を行うために必要な情報と作業の動機を意味しています。
- 「データ入力」「依頼・指示」「待ち・保留」の単独ケースもあれば、それらの組合せの事務作業もあります。EDI・他システムなどからの自動入手に対するデータ検証、項目の置換と追加及びエラー対応もあります。
アウトプット
- 事務作業を行った結果、出来上がる成果を指しています。
- 次の作業への「依頼・指示」もあれば、ひとつの結論を得る「帳票出力」「分析」「CSV出力」、また「EDI・他システム」出力もあります。また、これらを兼ねるケースもあります。
サポート
- インプット/アウトプットの事務作業に対して、やむを得ず発生するミス・訂正への考慮も大切です。訂正のタイミングは即時と後日があります。
- 作業中に必要になった情報を無駄な画面操作・画面遷移をせず速やかに照会できる仕組みです。
- 入力作業を行っている際、作業を途中で保留する機能も検討する必要があります。
1画面に向かって大量のデータを入力、入力データのエラー調査時間の確保、何らかの理由による入力作業の中断などのケースへの対応です。
- 自動通知は、下記(「マネジメントサポート」と情報活用)を参考にしてください。
これからの事務作業は、何のための事務作業かを明らかにして必要な作業要
素の組合せを考え、システム機能に具体化することが望ましいです。
現状の事務作業を鵜呑みにしてシステム化することは期待効果の実現が難し
いです。
次の資料に事務作業パターン別の作業要素をまとめてみましたので、参考にし
てください。
【参考】ダウンロード資料<370 事務作業パターンと作業要素>
【参考】ダウンロード資料<390 事務作業の画面サンプル>
|
「マネジメントサポート」と情報活用 < 情報活用の基盤 ③ >
マネジメントは情報活用そのものと言えます。情報なくしてマネジメントなし、マネジメントなくして情報
なしと言ってもおかしくないです。情報システムはマネジメントのあり方と向上に直結しています。
これからのマネジメントは「事実情報に基づく問題発見・改善/解決策の実施」と「情報システムを利用
した問題情報の自動通知」が基本と考えます。その上に、リスク管理・顧客サービスの向上・コスト削減
営業活動の支援といったマネジメント作業が効率的に行われる可能性が大です。
「経営管理の充実」と情報活用 < 情報活用の基盤 ④ >
これからの経営管理は経営数字の把握とともに、情報活用の向上を支える企業風土を醸成するのも
経営の役割と考えます。事業基盤の中枢として、情報システムを生かす術です。
|
「経営数値」を管理し、その数値利用を活かすためには「顧客サービス・情報管理」の充
実が必要不可欠です。経営者のための経営数値とともに「顧客の見える化」「経営数値
の活用」などを定着させる企業風土にすることです。
上記「業務プロセスの効率・事務作業の向上・マネジメントサポート」との関連で、経営管
理を捉え情報活用の徹底を促す。そのことが「経営管理」の情報品質・スピードを高める
方策です。
|
(参考)情報活用とコミュニケーション
情報活用は必ず「人」との関係で発揮されて、意味のあるものになります。
人との関係はコミュニケーションですし、この基盤があって情報が活用されるということを肝に銘ずる
べきと考えます。情報活用を行う上で、その情報が「コミュニケーションの種類」のどこに該当するか
を見極めてシステム化の検討を行うことです。
コミュニケーションの種類
① 情報を渡し理解してもらう
・情報共有、情報提供
② アクションを起こしてもらう
・ 依頼、指示、命令
・ 調査、事実確認、情報収集
・ 問題解決、業務改善、ルール変更
③ 提示への回答をもらう
・ 意見、アドバイス、解決策
・ 判断、意志決定、選択
|
|