中堅企業・中小企業における価値あるパッケージ導入の手引き

 

 
 
 
 

システム稼動後における仕事

      パッケージ導入に関する様々な準備をしてきて、情報システムの稼動を迎えます。その稼動
      を迎えての仕事はバグ対応を含めて多々あり、まだ気の抜けない局面です。その準備作業
      の真価が問われることになります。また、稼動後はパッケージ導入の評価、プロジェクト解散、
          改善事項の整理と対応 及び通常体制への移行などの仕事が控えております。
     「終わり良ければ全て良し」のために必要な仕事をやり遂げることです。

      

         何をおいても「稼動の安定化」が優先します。この安定化が実現しない限り、他の
           仕事には一切踏み込めません。
         稼動体制による臨機応変な対応と実行が早期の「稼動の安定化」を決めます。
            

機動性のある稼動体制の運営

     稼動体制の機動性はベンダと自社を含めてやるべき稼動作業を明確にして、役割分担・情報
     の取扱などのルールを決めることです。その実行を確実に行うために、「オペレーション・マネジ
     メント」の視点から必要なタスクを整理し実施します。

      

          オペレーション
              
① 対象範囲
                     ・ 情報システムの対象となる業務/組織(本社・拠点・・・)/取引先
                     ・ 情報システムの中身となるアプリケーション、ネットワーク、インフラ
              ② 役割分担と作業内容
                     ・ 自社(業務・組織)、ベンダ(関係会社全て)の対象範囲に対する
                      役割と責任の明確化
                     ・ 自社の作業(情報システムの機能確認/チェック/運用/理解度)
                     ・ ベンダの作業(事前チェック、日々の問合せ対応/問題解決/
                      監視)
              ③ トラブル/運用情報の流れ
                     ・ トラブルの発生/受け手/対象者への渡し/解決
                     ・ 運用計画と実績情報の種類と発信/受け手

 

          マネジメント
              
① 運用定例会の開催
                     ・ 「運用の安定化」早期実現のテーマで実施
                     ・ 自社/ベンダの共催、参加メンバーの選出、開催サイクル
                     ・ 報告内容の統一化(作業実績、監視、問題発生)
              ② 問題点への対応/解決策
                     ・ 問題管理表による一元管理
                     ・ 問題点の発生件数、カテゴライズ、及び分析による解決策
                     ・ 重要問題点に対する個別解決策の実施(スケジュール、責任者)
              ③ オペレーションの統括
                     ・ 「役割分担と業務内容」の実態把握とチェック及び改善
                     ・ 「トラブル・運用情報の流れ」の管理と改善
                     ・ 想定外事項への対応             

 「運用の安定化」のためのポイント

      運用体制の機動性ある活動とともに、つぎにあげる事項への対応も「運用の安定化」に欠かす
      ことができません。 

         ① 前作業「システム品質」「稼動準備品質」がそのまま稼働品質に現れます。それ故、
            前作業の確実な実行と品質保証が要求されます

         ② 問題発生した現象からその問題点の真の原因を特定して、その対策を実行します。
               -システムミス・バグが多い場合、設計ミス/テスト不足/スキル不足
                 が想定されます。
               -システム利用者からの質問が多い画面・処理は、その理解への説明
                 と教育が不足しています。
               -レスポンスが遅い場合、データベース設計・PG作成・設定ミスに原因
                 があります。

                    ③ プロジェクトマネ-ジャ(ベンダ/自社)による問題整理と優先作業の判断とその
            指示、及びそのフォローの実行力が大事です。 

                                  (参考)  「トラブル(問題)の解決策と予防策」ページ

「パッケージ導入の評価」とプロジェクト解散

     パッケージ導入による稼動が安定化した頃に「パッケージ導入による効果」を明らかにすること
     は、経営者に対する責任でもあります。投資に対する効果です。目的達成なり期待効果の実現
     には時間を要する内容も当然ありえます。また、評価内容を自社の財産という側面から行うこと
     も必要です。

              

      ① 「目的達成・期待効果の実現」の評価
           ・ パッケージ導入の検討において立案した目的達成の度合い
           ・ 定量的/定性的期待効果の実態
           ・ 結果の出ている評価と時間を要する評価(評価時期の決定)の識別
                                    (参考) 予算と期待効果ページの「期待効果を持つ大切さ」

      ② 「パッケージ導入の作業」の評価

           ・ パッケージ導入の準備/検討/選択/要件定義・Fit&Gap/稼動準備
             の作業における反省点と良かった点
           ・ ここに自社としての弱み/強みが出ており、今後の日常の仕事にいかして
             いく材料の整理
           ・ ベンダの仕事の進め方からの学ぶべき点(例:資料作成、会議進行)
                         (参考) パッケージ導入作業から稼動までページの「ベンダの作業品質」

             ③ 「情報システムへの理解」の評価

           ・ 情報システムは道具という認識を持ち、業務改善・管理向上への糸口
             を理解した人の増加
           ・ 自社の事業基盤の強化への情報システムの貢献度合い

 プロジェクト解散のあり方

     本番が稼動して運用の安定化が見えてくると、次はベンダ/自社プロジェクトの解散
     がテーマに上がります。プロジェクト解散は次の条件が満たされて可能になります。

        ① 「運用の安定化」が実現し、情報システムへの信頼ができ入出力系を含めて
          安心感が持てる。

        ② 当初の契約通り約束のシステム機能が全て確認でき、システムミス・バグが
          発生しない状況
になっている。(年次処理などの確認は不可能)

        ③ 問題管理表に載っている問題点が全て解消し、残の問題点はない

        ④ 自力で情報システムの運用が行える。

        ⑤ 情報システムの関係者(社内・取引先)から、情報システムに関するクレーム
          とトラブルは皆無
である。
 

改善・要望事項の取扱い 

     稼動後に発生する改善・要望は情報システムの利用が理解された証しでもあります。道具
     としての情報システムの使い方が自社の風土に沁み込んだとも言えます。
     ただ、改善・要望の中にはパッケージ導入の検討作業での漏れや緊急性の高いものもあり
     ます。急ぐ内容のものもあるかも知れません。

               

                      ① 改善・要望
                ・ 類似した内容や解決する方向が同じ内容の集約/分類
                ・ 内容に対する精査による期待効果の評価
                ・ 情報システムでの解決策のみかの判断(現状・手作業は?)
                ・ 対処すべき内容の優先度による選択(投資対効果の視点から)

          ② 対処
                ・ 下記「理由」事項の確認に時間が必要
                ・ 予算計画への組み入れ、経営者の判断

          ③ 理由
                ・ 稼動後システムの業務処理/管理内容/情報活用の定着化
                ・ 当初の期待効果の見極め(稼動当初、3ヵ月後、6ヵ月後が目安)
                ・ 関係者・経営者による情報システム利用の認知 

 プロジェクト成功の証し

      成功したプロジェクトに見られる共通した現象があります。それらの多くは「人」に関する
      ものです。

         ① 自社・ベンダともに、目を見張るほど成長した人がいる。

         ② 自社・ベンダ間、SE間での学びあいの結果、信頼感が生まれ人間関係が
            長続きする

         ③ 自社内で情報システムへの信頼度が高まり、創意と工夫の発想を持つ人
            が増える。

         ④ 「お客様から学ばさせて頂いた」という実感を持つ素直なSEが多くいる。
             (素直→前向きな発想で好奇心を持ちスキル向上心を有している)

         ⑤ きちんとしたプロジェクト解散式を行う。(形態はさまざまですが)

 

             【参考=自社/ベンダともに】

            ビジネスルールの上に、「人は感情の動物である」ことを分かって
              いるプロジェクトマネジャーなりプロジェクトリーダが存在する。
              しかも、「甘やかすこと」と「厳しさ・叱ること」の違いが分かる人。

            経営者の方針・姿勢・判断が大きな影響を与えていることの認識
              を持つ経営者がバックにいる。


 

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