中堅企業・中小企業における価値あるパッケージ導入の手引き

 

 
 
 
 

 ベンダ選択の手順

   ベンダの選択は準備に多少の時間をかけて行うことが望ましいです。拙速はベンダ力量の評価を間違
   えたり、ベンダとの確認事項の漏れが生じやすいです。選択手順に沿ってベンダの評価項目と評価基
   準を常に頭におきながらベンダ選択に関する情報を得ることです。ERPパッケージを含むパッケージ商
   品の選択や新規のシステム開発も、ベンダ選択の手順は同じような道筋を踏みます。   
   信頼でき必要な力量(知識・スキル・実績)をもったベンダの最終選択は自社の努力なしにはありえな
   いです。選択の対象となる各ベンダに対して、誠実、クール及び中立の姿勢で作業を行うことです。
                                   (参考) 「ベンダ選定の事例」ページ

    

      ① 提案書の受理
          ・ 提案依頼書(RFP)への回答有無の整理をします。未回答、未資料を洗出します。
          ・ 提案依頼書の項目ごとのベンダ別比較表を作成します。

      ② 内容検証・質問整理
          ・ 回答内容の意味不明・疑問点を洗い出し、整理します。
          ・ 回答内容で最もレベルが高く信頼できる内容を項目別基準にします。ベンダ別比較表
           にその旨の印をつけておきます。
          ・ プレゼンテーション用のベンダ共通とベンダ個別の質問表を用意します。
                                     参考】 ダウンロード資料<144 「質問とインタビュー」の要領>
      ③ プレゼンテーション
           ・ 進行役、質問者などの役割と時間割を決めて行います。
          ・ 「何を」重点にプレゼンを行っているかに注視し、自社要求への理解度をチェックします。
          ・ 担当予定のPMの発言に、任せられる力量と誠意があるか否かをチェックします。
          ・ 下記の「評価レベル2」の内容を質問し、その答えの具体性・信頼性をチェックします

          ・ ベンダ回答の持ち越しを整理し、回答時期と内容を確認します。
          ・ 各ベンダのプレゼン結果を自社の参加者から感想と評価を記述してもらいます。
      ④ 回答確認
          ・ プレゼンなどでの質問・留意情報への回答情報を入手します。約束日時を守らせます。 
      ⑤ ベンダ評価
          ・ (参考)下記の「ベンダ選択の評価基準」
          ・ 残ったベンダ候補(2社か3社)のPM・主担当SEとの個別打合せを行うことです。この
           打合せは、ベンダが説明したことの裏付けとPM・主担当SEの適性と能力を確認する
           ことにあります。
      ⑥ ベンダ決定
          ・ 決定に際してのベンダとの約束事項があれば、文書で通知すべきです。必要があれば、
            両社の合意内容を文書で残すことが大事でです。
          ・ 作業開始の時期・内容をベンダと確認します。

 選択手順での留意すべき点          

          ① この基本手順に沿って行い、必要があればヒアリング追加・打合せを入れることも
           構いません。ベンダとの接触が多ければ多いほど、情報の正確性は高くなります。
           但し、各ベンダに対して平等に行うことです。
         ② 対象ベンダが多い場合は、上記①か③のステップで対象ベンダを絞ることです。
           残ったベンダに対して、③ステップ以降を行うやり方もあります。当然、再度の提案
           を受けることもありえます。
         ③ 自社の信用のためにも、上記日程は公開して行うことが大事です。

ベンダ選択の評価基準

   ベンダ選択がパッケージ導入の成否に大きな影響を与えます。自社の弱みを考慮に入れ、下記の
   評価内容を審査基準にしてベンダの評価と選択を行って下さい。
     最良のベンダ選択に必要な評価項目とそれに対する評価基準一覧、及びベンダ
      選択作業の留意事項をまとめました。この資料を下記よりダウンロードして参考
            にして下さい。

                          参考】 ダウンロード資料<110 ベンダ選択の評価基準> 
                  参考】 ダウンロード資料<141 ベンダ選定の評価表(事例)> 
                   
参考】 ダウンロード資料<146 ベンダ評価の総評表>  

        

 「評価レベル-1」の基準

           ① パッケージ商品の適合性
                           ・ 要求するシステムの範囲と機能を納得するまでの確認が必要不可欠
                 ・ 次のページを開いて、選択に必要な要点とチェックポイントの理解
                          (参考)「パッケージ商品の選択方法ページ
           ② 提案書作成の回答、誠意
               ・ ベンダ提案書(提案依頼書への回答)の回答有無、回答の分かりやすさ
               ・ 自社・業界の言葉の使用頻度と理解度 (→ベンダ言葉が多いのはダメ)
               ・ 自社向けのオリジナリティを重視して作成している内容 
                                                                                           (→他社使用のコピーはダメ)
               ・ 提案依頼書以外での自社向けの提案、提示、課題提起の有無
               ・ 提案書のページ量でなく、内容による質での判断 (→分かり易さ)
           → この評価レベルで合格に到達していないベンダは、「評価レベル-2」に行く
              必要性
はありません。

  「評価レベル-2」の基準

          ① PMの力量
               ・ 自社プロジェクトへの参加度合い(専任か兼務か、使用できる時間)
               ・ 最終稼動までの責任を果たす役割(→途中交代は絶対ダメ)
               ・ 自社の課題・弱みへの理解とそれを解決できる能力、実績
               ・ 提案書でのPM本人による作成ページの内容確認(→無しは不向き)
               ・ 経営的発想の有無/業務改善の実績/業務知識の保有の確認
               ・ プロジェクトマネ-ジャの経験と実績(→複数の経験がないと不適)
               適切なプロジェクトマネジャーの評価と選択が非常に大事な行為
                 です。下記ダウンロード資料を是非とも参考にして下さい。
                  
参考】 ダウンロード資料<144 「質問とインタビュー」の要領>
                             参考】 ダウンロード資料<070 プロジェクトマネジャーの評価方法>
          ② SEの力量
               ・ 主担当のSEが評価対象になります。
               ・ 得意分野(アプリケーション、業務知識、技術、フェーズ担当)の確認
                                                       (→はっきり語れない人はダメ)
               ・ 自社要求(業務範囲、管理、課題)への理解と咀嚼力
               ・ ドキュメント作成の実績、コミュニケーション力、社会常識の保有
               予算5千万円以上のプロジェクト案件になると、主担当SEに対して
                 プロジェクトマネジャーに類する評価と選択を行うことを薦めます。 

          ③ ベンダの体制
               ・ 体制の中に、協力会社(SE・PG)が存在する場合の責任と役割
                 (主要なシステムに対する責任担当がベンダ社員でない体制はリスク
                  が大きい。責任担当の経験と業務知識の確認が大事です。ベンダの
                  責任担当が協力会社の作業管理のみであれば体制の欠陥です。)
                ・ 担当の会社が3社以上の構成であれば、体制としてはマイナス評価
                 (プロジェクト運営とコスト面から自社にマイナスに働きます。)
               ・ 自社のプロジェクトに対する進捗・問題管理・品質管理の位置付け
                 (プロジェクト以外の担当者有無、レビューサイクル、問題解決の方法)
               ・ PMを管理する責任者の役割とチェック方法、自社への報告サイクル
               ・ この体制の役割とタスクに対して、形式でなく実質的活動の保証
               ・ ベンダのスタッフ機能による自社プロジェクトへの指導と監視内容

          ④ システム機能の確認スケジュール
              ・ 導入方式が「フォターフォール型」でドキュメント主体のスケジュールは危険で
                  す。動く画面でのユーザ確認と仕様確認が早めに位置付けられているスケジュ
                  ールが重要です。
               ・ システム機能の最終確認(利用者の納得)はテストフェーズまでいくこと
                を前提にした作業の仕方・スケジュールの確認です。
                (利用者の我がままでなく必要不可欠として発生する可能性が大です)
               ・ 作業フェーズの組立てにおいて、利用者のシステム機能要求の吸い上げ
                と対処方法です。
                (自社もベンダも気づかないシステム機能の追加・変更は皆無とは言えま
                 せん。例外のパッケージもありますが)
          ⑤ 成功要因からの必要事項
               ・ プロジェクトを成功させるのに避けて通れない要因があります。プロジェクト
                とシステムの機能要求からのリスクです。これらのリスク要因を前もって理
                解し、防止策を講じることです。
               ・ これらの成功要因(リスク要因との背中合わせ)を自社の実情に照らし合
                わせて、必要事項をベンダ評価の基準にすることです。
                       (参考) 「プロジェクトを成功させる要因とリスクマネジメント
          ⑥ 総費用
                                (参考)予算と期待効果ページの「想定される予算項目の一覧」

 ベンダ選択という名の「人の選択」

ベンダといった会社組織の選択とともにPM・SEの
選択という側面をもっているのが、この業界の特性
でもあります。パッケージ導入なりシステム開発は
担当するリーダクラスの資質に依存する比重がまだ
高いです。
それは企業活動における情報システムの利用価値
が深化を続けて いるのに、情報システムのパッケー
ジ化・ツール化が追いついていけない面があるから
です。それをカバーし、企業ニーズへの情報システム
の適用を行う作業を人の経験・ノウハウが支えている
のが現状です。また、情報システムの利用も単なる
      業務処理の効率化から経営管理に直結した仕組みなり流通取引の変化への対応へとシフトしつつ
       あり、情報システムの複雑化を招きつつあります。
       情報システムの複雑化・多様化への対応とともに、PM・SEに要求されているのが自社プロジェクト
       への指導と目的達成へのガイド役です。自社の弱み・課題と発生する作業に応じたノウハウ・知識・
       経験の提供ですベンダの機能する体制をバックにしたPM・SEの力量と自社プロジェクト(=力量)
       がパッケージ導入の成功への両輪です。成功のカギは人と人の力量と信頼関係にあります。

                                 (参考) 稼動体制とシステム評価ページの「プロジェクト成功の証し」

  ● 「ユーザのためのパッケージ導入」セミナーのご案内

 
 セミナーの目的
       ・ 受講結果、自社に戻り独力で必要な作業を消化できる。
       ・ 社内手続き、社内協力、資料作成及び問題解決を容易にする。
       ・ パッケージ選定、システム品質及び稼動に必要な知識が理解できる。
 セミナーの内容
      
① 導入準備に必要な作業内容と実践ポイント
       ② 最良なパッケージ・ベンダ選定のための実施方法
       ③ 価値ある要件定義書を作成する実践ポイント
       ④ 安定稼動に必要なユーザテストと社内準備 
  開催の要領
         「ユーザのためのパッケージ導入 徹底解説」セミナー

 
 パッケージ導入・情報システムの再構築に関しての疑問・不安・質問のあ
   る方、また、欲しい情報のある方は「お問い合わせ」ページにてご連絡を頂
      ければ対応させて頂きます。


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