パッケージ導入と予算
1.パッケージ商品の特性
中堅企業・中小企業の事業計画に基づいてパッケージ導入の検討を行う際に、パッケージ商
品のもつ特性を理解することが必要不可欠です。ERPパッケージの導入検討も同様です。
この理解抜きのパッケージ導入の検討と予算策定は、目的達成どころか高い買い物になるリ
スクがあります。パッケージ商品の特性は次のような内容です。
① パッケージ導入(ERPパッケージ含む)は目的達成のための道具の一つです。
→情報システムは道具であり、目的として扱うと失敗します。
② 業務処理・管理内容の改善に適合させるために、期間・時間・工数が必要です。
→業務系パッケージをそのまま導入することはあり得ないです。
③ 自社の個別要求にカスタマイズ・アドオンという費用が発生します。
→パッケージ商品には限界が必ずあります。
④ パッケージ商品の購入費用の他に、様々な費用が発生します。
→投資対効果の判断が重要であり、初期費用と運用保守費用を
抑えることです。
(下記参照→「想定される予算項目の一覧」)
2.パッケージ導入とプロジェクト予算の関係
パッケージ導入におけるプロジェクト予算は、「予算の位置付け」と「費用確定の流れ」から見る
ことです。目的達成を確実に行うためにも、この2つの視点からしっかり予算を検討し、確定する
ことです。システム開発を選択した際にも適用は可能です。
情報システムという仕組みを創るプロジェクト活動という予算組みになります。
①予算の位置付け
・ (A)のギャップの中身をきっちりと押さえることです。その内容がどこまでパッケー
ジ適用で解決できる否かの判断をします。
・ なるべく、パッケージの持つシステム機能(B)での解決に持っていくことが予算の
セーブになります。
・ 期待効果の実現から、(A)ギャップの課題解決の対象を決めることです。
(参考)基本手順とパターン選択ページの「基本手順と自社の判断」
②予算確定の流れ
・「要件定義・Fit&Gapフェーズ」の作業結果で最終の予算が確定するのが 基本です。
この前の作業フェーズでの予算の確定はのちのち事故を招きやすいです。
パッケージ商品をそのまま導入するというケースは別ですが。
・予算の制約を考慮すると、「課題解決・選択フェーズ」作業の中で期待効果
という基準で「自社の要求・課題」の取捨選択が必要です。
(参考)基本手順とパターン選択ページの「基本手順と自社の判断」
想定される予算項目の一覧
パッケージ導入において想定される予算項目を確実に押さえておくことです。
自社として必要な予算項目を整理して、概算予算を組むことが準備フェーズの作業になります。
また、この業界では当初の想定予算から20%~30%アップすることのへ考慮も必要です。
「転ばぬ先の杖」でもあります。
① もし「コンサルタント」費用を発生させる場合、その成果物に留意して下さい。その成果物
が次の作業フェーズへの有効価値があり、引継がせる責任範囲を明確にすることです。
② 「パッケージ商品」費用のみでの判断はあまり意味をなさないです。あくまで、トータル費
用で検討します。
③ 「カスタマイズ」費用は要注意です。パッケージ商品の持つ商品価値が低ければカスタマイ
ズ費用が高くなり、高い商品価値があればカスタマイズ費用は低くなるという法則です。
(参考)パッケージ商品の選択方法ページの「カスタマイズとパッケージ商品価値の関係」
④ また、自社とベンダの作業に関する役割分担(ベンダ提示)に注意の目を持って下さい。
ここに、費用増減に影響を与える作業項目があります。
期待効果を持つ大切さ
予算と期待効果は切っても切れない関係にあります。「期待効果に対して予算ありき」で予算規模を
決めることです。予算という数字はこの期待効果の具体的な姿ともいえます。期待効果がどこまで数
値化されるかは難しい面があります。しかし、定量的・定性的な期待効果を自社として明確にするこ
とは必要です。
① 期待効果はパッケージ導入の最終ゴールであり、このゴールに向けて投資予算が
決まります。
② 選択したベンダにも、この期待効果の実現に責任の一端を担ってもらいます。自社
の投資予算への問題意識です。
③ パッケージ商品の適用作業の「システム要件の固め・システム機能の是非」のとき、
期待効果の実現性が判断基準の一つになります。
・ 期待効果は稼動開始とともに現れるものと、時間を要するものがあります。必要が
あれば「期待効果の実現」の予定時期を明示します。
期待効果を早期に実現するために
パッケージは道具ですから、期待効果を早期に実現するためにはそれなりの努力をはらうことも必要
です。経営・管理・業務処理レベルに応じて、リーダシップのある責任者が不可欠です。
① 経営者の指導・決断による組織改革・人の異動を含めた対策もありえます。
② 業務ルールの改善を踏まえたマネジメントの改革・意識改革が必要になるケースもあります。
③ 担当者のアイデア・意見・要望を参考にしながら、システム機能の検討を行うことです。
④ 「課題解決フェーズ」での作業成果が期待効果の実現に大きな影響を与えます。
⑤ パッケージ導入の作業は自社で通常行っている「業務改善」と同じように位置づけることです。
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開催の要領
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(参考) 「業務改善への情報システムの活用」ページ
● 事業の中枢を担う企業情報システムの構成・主要機能・構築条件に関心
のある方は次ページを!
(参考) 「企業情報システムのあり方」ページ
● 事業活動、業務処理、情報システムでの課題を抱え、その解決策の進め方
に関心のある方は次ページを!
(参考) 「課題解決の簡単な進め方」ページ