パッケージ導入の基本手順
パッケージ導入作業(クラウド含む)は、準備から稼動までが基本的な手順です。この手順の各ステ
ップの作業内容を理解して確実に行うことが実のあるパッケージ導入(情報システムの再構築)に繋
がります。この作業内容を自社でどこまで行えるかの見極めと他社なり第三者の協力分野を明確に
することが大切な事柄です。プロジェクト活動を成功に導く基本条件です。
この基本手順の流れとやるべき作業を概ね理解しておくことは、パッケージ導入(システム開発も同
様)の責任者・担当者にとって必要なことで「木を見て森を見ない」に落ち入らないためです。
基本手順と自社の判断(パターンの選択)
基本手順の実施をどこまで自社の力で行うかの判断は大事な意志決定になります。この基本手順の
作業を自社の独力でどこまで出来るかの判断はいろいろな条件で決まります。ここでは、「自社力量」
評価と自社の課題解決力を基準にして、基本手順を3パターンにしました。
*1 「自社力量評価表」を参考
【参考】 ダウンロード資料<010 自社力量評価表>
*2 「課題テーマ」により使用する判断表(上記表のα・βのどちらか)を選んで
ください。
*3 表の中の「A・B・C」は基本手順による他社協力パターンを意味しています。
1.「Aパターン」の選択

① 選択フェーズ(パッケージ・ベンダ)のときに、各ベンダに自社による課題解決策の成果物を開
示して率直な意見を収集することが望ましいです。RFPに反映させます。
② 各ベンダからの意見を踏まえて、未消化の課題を入れた要件定義フェーズ作業のスケジュー
ルをベンダに依頼することです。課題解決策を行ったテーマに関しても、要件定義・Fit&Gap
フェーズの最初の作業として、再確認を行います。
③ 準備フェーズから自力作業を行いながら、他社のアドバイス・意見を聞く耳は必要です。
(参考)ベンダへの提案依頼書ページの「提案依頼の進め方と作業内容」
2.「Bパターン」の選択

① パッケージを道具として有効活用を図るための業務・管理面の条件(業務ルールの改善、他)
を整える課題があります。課題解決フェーズの作業を重視することです。
② 課題解決フェーズの他社は、信頼できるコンサルタントかベンダの経験者をパートナーに選
ぶ ことが必要です。課題解決フェーズの成果物を選択フェーズの選択条件に入れます。
③ 準備フェーズから他社の協力をえることも一つの選択肢として考えられます。
3.「Cパターン」の選択

① パッケージ導入による業務・管理面のあり方がある程度見えている場合に適用できるパタ
ー ンです。但し、自社の力量が弱いために他社の協力を得て慎重に事を進めることです。
② 選択フェーズでの他社は第三者かコンサルタントを意味しています。この他社は、課題解決
フェーズの成果物に対する点検とアドバイスを兼ねます。
③ 選択フェーズは自社の弱みを反映させたRFPをベンダに投げて、自社への理解力と提案力
を判断するやり方もあります。 費用などの関連で、選択フェーズで他社協力を得ない進め方
です。
予算と選択パターンの関係
パッケージ導入に関するプロジェクト予算をどのように捉えるかは、自社として悩みの種と考えます。
投資対効果のバランスが分かりにくいからです。選択したパターンの基本手順に応じて予算の考え
方を示しますので参考にして下さい。
① 「B」パターンの予算βは可能であれば、別予算として計上して「課題解決・選択フェーズ」を
内容の濃い作業を行うことを薦めます。「転ばぬ先の杖」としてです。
② 「C」パターンの予算βは可能であれば、別予算として計上し確かなベンダ・パッケージ選択
を第三者の目で確認する方法もあります。
③ 各パターンの予算αはこの「要件定義・Fit&Gapフェーズ」のみで見積をするベンダがほと
んどです。パッケージ導入(カスタマイズ)以降が別見積になります。
④ 自社なりベンダなどに不安があれば、要件定義作業のみを予算αで行い、要件定義作業の
成果物で「次のパッケージ導入フェーズでベンダ・パッケージ選択を行う」方法もあります。
規模の大きいパッケージ導入のケースでは、このやり方も選択肢の一つになります。
パートナーの選び方(課題解決・選択フェーズ)
次のような条件を考慮して、他社(コンサルタント・ベンダの経験者)のパートナーを選ぶことです。
会社でなく人物本位で選ぶことが望ましいです。
① 自社に合った実務知識を持ち、課題解決への提案力
② プロジェクトマネ-ジャの経験があり、複数の成功実績を有する人
③ 自社向けのオリジナルなドキュメントを作成し、納得できる説明を行う人
④ 経営的発想と見方ができ、自社の事業環境への理解力
⑤ 「パッケージは道具」という認識をもち、業務改善に実績のある人
上記の内容を一つでも多く兼ね備えている人を選ぶことがベターです。打合せ・ヒアリング・プレゼン
などの機会に、対象となるパートナーを上記の目でチェックすることです。ただ、SE経験を持っている
だけの人は避けた方が良いです。また、講釈がうまく実務レベルの低い人は避けるべきです。
